先に宣言しておきます。
愛煙家を敵にまわすつもりはないし。
タバコ産業をどうこうしたいわけでもないですが。
健康のためにはタバコは吸わない方がいい
と思います。
もちろん、吸わなきゃ健康でいられるわけでもないけど。
科学的に完全に証明されていないとしても。
タバコを吸わないことは必要条件だと思います。
1年ほど前、実父が長々と入院しました。
若かりし頃から…
おそらく喫煙していい年齢の初めから吸い始め…
ずっとヘビースモーカーだった父。
以前から、健康診断で、父の肺はひどい状態と言われていたそうです。
そんな父が、別の病気で検査入院し。
もう帰りたいと駄々をこねて早めに退院させてもらったその日に、呼吸困難で倒れ、救急車で運ばれ(病院に戻され)ました。
実家は離れているので、すべて母から伝え聞いたことだけど。
呼吸困難の原因は当然肺にあって。
そんな出来事があったあとに、久しぶりに父に会ったら。
少し歩くたびに、はぁはぁと呼吸を荒くしていて。
なんだかすっかり変わった姿になっていました。
「入院中は本当にお母さんに世話になりっぱなしで、頭が上がらない。」
なんて笑っていましたが。
今さら気づいたか?!
とは心の中で思いつつも(笑)
弱々しい父を見ながら、私の頭に一番最初に思い浮かんだのは。
私が大学生で、それなりに父に口ごたえできるようになったときに。
「タバコやめた方がいいよ」
と言ったら。
「俺はタバコを吸って、それで死ぬなら本望だ!」
と言い放ったときの父でした。
私は父をとーっても尊敬していますが。
このときのことを思い返すと。
「父は本当にバカだな。」
と思います。
何が「タバコで死ぬなら本望」なんだか。
こんなに弱々しくなって。
今さら取り返しもつかなくて。
タバコを吸い続けた父の肺は。
お医者様によれば、痛めつくされてぶよぶよなんだそうです。
1回膨らませたあとにしぼんだ風船のように。
ぶよぶよで。
もはやきちんとパンパンに膨らませることはできないそうです。
もう30年以上もタバコを吸ってしまい。
ようやく気付いたときには・・・元には戻せません。
筋肉ではないので鍛えることもできません。
ただただ、弱いしぼんだ肺と一緒に生きていくしかないのです。
次に頭によぎったのは
「いつか父は死ぬのだな。しかもそんなに遅くないうちに。」
ということでした。
それ以来。
時々思い返すたびに
「父は本当にバカだな。」
と
「いつか父は死ぬのだな。」
が交互にやってきて。
胸がぎゅっと苦しく熱くなり。
口の中がすっぱくなります。
これまで一生懸命に働いてきて。
私や姉を育ててくれて。
ようやく定年も迎えて、少しのんびりできはじめて。
母と年1回は旅行に行くようになり、楽しい老後を迎え始めたと思ったらコレです。
父が喫煙していた自分を後悔しているとは思わないけど。
たぶん、「タバコを吸って死ぬのは本望ではなかった」とは少なくとも思っているのではないか、と。
そんなことを。
夏休みに実家に戻り、父を見ながら思ったりしていました。