■新卒の就職活動の夏が始まりました
エントリーや会社説明会、WEB試験などはすでに始まっていますが、最も力の入れどころである面接が8月から始まりました。
(とはいえ、経団連の「採用選考に関する指針」に賛同する企業では8月から面接を開始しているということであって、賛同企業でなければすでに面接を開始しているところがたくさんあります。)
私は採用セクションのスタッフではありませんが、この時期は面接応募者がたくさんいるので、人事職のスタッフは面接官としてサポートします。
私もこれまでたくさんの学生さんの面接をさせてもらいました。
すでに色々な会社を訪問していてセリフのようにペラペラっと質問に答える人。
コチコチになって言動がぎこちなくなりながらも一生懸命に質問に答える人。
まだ始めたばかりなのか、ちょっと深く回答を掘り下げるとシドロモドロの人。
体育会系で元気だけがとりえです!と素直にアピールする人。
とにかく十人十色で、面接って飽きません。
そして、自分自身に子供ができてからは、学生さんたちの背景にお父さん・お母さんがいるのだな、なんて思うようになりました。
■不合格の理由を問い合わせてくるご両親
これまでたくさんの学生さんを面接してきましたが、私が毎度心がけているのは、学生さんができる限りアピールできるように話を引き出してあげることです。
たくさんの学生さんがやってくるので、面接時間も限られている中でも、次の面接ステップへ進めるか否かを判断しなければなりませんから、学生さんが思っていることを出しきれるように努めなければと思っています。
でも、最後には合格・不合格の結果を出さなければなりません。
ただ、「不合格」としたからといって、その人に「人間失格」の烙印を押しているわけでは決してありません。
例えばとってもいいなと思った人でも、他社の選考ステップが結構進んでて、絶対当社には来ないだろうなという学生さんには内定を出しても結局無意味になるので不合格とすることもあるわけですから。
このように色々な思いや判断があって進んでいく採用選考ですが、知り合いの採用スタッフから「不合格にした学生さんのご両親から電話がくることがある」と聞きました。
「なんでうちの子が落ちたのか」「なんとかならないのか」そういう類の電話のようです。
けっこうカルチャーショックでした。
大学3~4年生なので、すでに20歳は超えた大人です。学生とはいえ、社会人を目前とした大人ですよ。
そこにご両親が登場とは・・・
■ご両親の心配な気持ちは分かりますが
ご両親の立場にたってみると・・・確かに自分の子供がちゃんと就職できるか心配にはなるだろうなぁと理解できす。
ちゃんと働いて自分の人生を歩んでほしい・・・そのための第一歩ですから、かなり心配でしょうね。
でも、やっぱり忘れてはならないのは、あくまでも主体は子供本人であることだと思います。
エントリーシートや面接を子供に代わって受けてあげられないのと同じで、企業への問い合わせも代わってあげるべきではないのです。
問い合わせを受けた会社側の人間としては、それこそ「不合格にして正解」という感じだと思います。
親が勝手にしゃしゃり出てきただけかもしれませんが、印象UPはまず、ないですから。
しかし、なんでこういう風になってしまうのかなと思うのです。
私の子供が大学生になるのはずっと先のことですが、私は子供に代わって企業に電話をかけたりはしないだろ
うからです。
■ヘルプからサポートへ
子供が大変な思いをしているなら、なんとかしてあげたい!という気持ち。わかります。
でも、ヘルプをするか、サポートをするかが違うんでしょうね。
子供が小さいうちは、転んだら手を差しのべて、助け起こしてあげ、傷の手当をして、泣き止ませる[ヘルプ]。
でも、育てていく過程で、転ばないためのアドバイスをしたり、転んだときの対応を助言し、傷の手当方法を教えてあげて、泣かなくてもいいようにしてあげる[サポート]。
そんな風に、子供の成長に伴ってヘルプをサポートに変えていかなければいけないのだと思います。
[ヘルプ]は親が存在しなくなったらできません。[ヘルプ]ばかりしていたら、親がいなくなった途端、子供が困難を乗り越えられなくなってしまいます。
だから、困難な状況を子供が自分で乗り越えられるように[サポート]が必要になるのだと思います。
子供が心配で、なんとかしてあげたいのは、子をもつ親はみな同じ。
でも、企業に電話をかけてきてしまうご両親は[サポート]に切り替えられていないんだろうなと思います。
私はどうだろうか。
働いている分、子供の近くでヘルプしてあげられることが、比較的少ないのではと思います。
だから、無意識ではありますが、その分、サポートにつながるような言動を子供たちに対して多くしているような気がします。
まだまだ母親として未熟ですが、いつか子供が自立できるよう、ヘルプとサポートのバランスを上手にとっていきたいなと思います。